どうしたら選ばれるの!?就勝

就勝! 行動と態度 その2

ガサガサッという音、京都から東京に戻る新幹線の車中のこと。ハードスケジュールでの仕事、疲れてぐったりの私は、シートに吸い込まれるように座って、目を閉じてウトウトしていました。この音は「なんだろう」とキョロキョロしたら、通路を隔てた席に座っている方が、お弁当を食べ始めていました。お弁当を入れてあるビニール袋をいじるたびに、ガサゴソという音が聞こえてきます。その音は、シ~ンと静まり返った車内に響きます。不快に感じる音は、いつまでも続いています。「眠たいのにな~」と独り言を言ってしまいました。「人の振り見て我が振りなおせ」という言葉がありますよね。これまで、私も何気ない振る舞いで、迷惑を掛けていることがあったと思います。突然、何の予告もなしに、バリバリ、ガサガサという音が聞こえてくるとビックリもしますし、この音はなんだろうと思います。音を出している人と、その音を聞いている人は、感じ方が違いますね。

ある日、就業時間の前に取引先の山下部長からの電話、話しが終って受話器を置きました。翌朝、「私、何か悪いこと言いましたか?」と再び電話をしてきた山下部長。「あなたは、受話器をガチャンと投げつけるように置いたので~」と言う山下部長の話を聞いて、納得でした。あのとき、パソコンで書類作成の続きに取りかかった私の行動、こんなにも相手の心を傷つけていたとは、想像もしないことでした。こちらの状況が見えない電話だからこそ、心を遣わなければならないんですよね。急いでいる時も、話し終わったら、一呼吸してから静かに受話器を置くようにしましょう。耳元で、ガチャンと電話を切られたら、誰もが山下部長と同じように、眠れない夜をすごすことになります。ほんの少しの心遣い、相手の立場に立った行動、とても大切なことですね。就職活動で、人事の担当者に電話をかけたときなども注意しましょう。

この音のことを書いていて、会社訪問したときのことを思い出しました。「失礼します」と女性社員の声が聞こえて、静かにドアが開きました。この女性社員のしぐさは、スーッと音もしないドアの開閉でした。楚々とした女性社員の音にも心を遣った振る舞い、見習ったら「素敵ね」と思われるでしょう。毎日の生活の中で、何気ないドアの開閉も、バタンと大きな音を立てているときがあります。ドアが閉まったのを確認して、ノブ(取っ手)から手を放すと音はしません。ドアの開閉も、動作をゆっくりするといいですね。ゆとりある振る舞いは、相手にも自分にも心地良いものです。あわただしくパタパタしていると、振る舞いまでも荒っぽくなってしまいます。面接試験のときのドアの開閉、バタ~ンと閉めないようにしましょう。

そして、食事をするときのクチャクチャ、ペチャペチャ、この音も気になります。美味しい料理も、この音で台無しです。音が出ないようにするには、食物が口の中にあるときは、口をきちんと閉じておくこと。口を開いたまま、噛むと音がでます。幼い頃に、「食べている時は、お話しをしないこと」と教えられましたよね。

この頃、自分の出している音に対して、無関心なことが多いように感じます。自分の出す音、周りの人が不快に思っているかもしれません。優雅で素敵な振る舞いは、自分の出す音に心を遣ってみましょう。この頃、私たちは、この音に関して無関心なんですよね。ドアをバターンと閉める、受話器をガチャンと置くなど。携帯電話を切るときも同じですね。

他にもあります。廊下をパタパタ歩く音、靴をズルズル引きずって歩く、ドタドタと音を立てて歩く、無意識に指の関節をポキポキ鳴らす、自分はなんとも思わない音でも、周りの人は良い感じはしません。電車の中の音も気になります。新聞をガサガサと音を立てながら読んでいる人がいます。他にも、イヤホーンから漏れる音楽、携帯電話の呼び出し音、などなど。

自分から発する音に、心を遣いたいと思います。

東條文千代 プロフィール

東條文千代

東條文千代 (NPO法人 日本人材教育協会 理事長)
大学でのキャリア教育や就職指導、企業での人事・採用・教育関連のコンサルティング、執筆や講演と活動は多岐に亘り、全国を駆け回る。就職指導は、年間5000人の学生と係わる。

NPO法人 日本人材教育協会とは
求職中の学生や社会人、転職を希望している企業人及び一般の社会人を対象として、各自の適性、能力、希望に合うような企業・団体への就職支援に関する事業及び一般常識を含むビジネスマナーやビジネススキルの修得を目的とする人材教育、社内教育研修に関する事業を行います。

陽だまり