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ホテルのロビーには、たくさんの椅子が並べられています。そこに座っている高齢の一人の女性、まるでスポットライトが当たっているように見えました。なぜでしょう。上品な装い、きちんとまとめられた髪、薄化粧、そして、背筋がしゃんとした座り方など。座った姿勢のよさが、周りの人との違いです。もたれかかるように、背中を丸くして座っている人と比べると、ひときわ美しく見えました。座り方ひとつで、こんなにも違うんですね。ちょっとしたことなんですが、毎日の心がけや生活習慣が影響しているんだと思います。そして、姿勢には外見的なものだけでなく、生きる姿勢『心の部分』が現れますね。
お尻を突きだして「あ~、疲れちゃった。どっこいしょ。」と座っている人がいますよね。年齢よりもずっと上に見られたり、やる気のないような、だらしなさが伝わってきます。ゆるんだ印象がある姿勢や仕草は、人間性までも疑われてしまいます。「どっこいっしょ」のその姿、ビデオに写して、見てみませんか。きっと、「恥ずかしいわ~」と思うでしょう。人間って幸せな構造にできています。人のことは、しっかり見えるのに、自分のことは見えないんですよね。私は、講演や授業のビデオ撮影があり、自分のイメージと映し出される映像の違いに愕然とすることがあります。他人の目で自分を見つめることは、意識していても難しいものです。『~しているつもり』なんですが。
結婚披露宴で丸いテーブルに着席していますと、「乾杯しましょう。どうぞ、お立ちください」と司会者の声。そのとき、右と左のどちら側に立っていますか。「気にしてないわ」とおっしゃる方が多いですよね。椅子から立ち上がる場合、左側に立つのがマナーです。ある時、右側に立った男性は、隣の人とぶつかりそうになり、乾杯のシャンパングラスはズレてしまいました。同じテーブルの人たちは、「どうして右側に立ってるの~」と怪訝な顔。欧米では3000年も前から椅子の生活、そして、武器を持つ右手を邪魔しないという右上位の考え方から、『椅子の左から入って、左から出る』は基本的なマナーです。女性はハンドバックを自分の左側の床におきましょう。右側に置くとお隣の人の出入りを邪魔することになりますから。日本では明治時代に欧米のマナーが取り入れられました。あの鹿鳴館での優雅な振る舞いの女性たち、椅子には左側から座り、左側に立っていたのです。
椅子の座り方は、椅子に遠い方の足を前に一歩踏み出し、椅子に近い足を椅子のやや真ん中に、そして、両足を揃えて座ります。ふくらはぎで椅子を確認できますので、振り返ったりしないで、す~っと座ることができますね。立ち上がるときは、この逆になります。また、座る瞬間の「ドスン」と言う音がしない座り方を意識するとほかの仕草までも素敵になります。
人間の体は曲線、姿勢を正すと直線になってすっきり美しく見えます。便秘・腰痛・肩こりは、姿勢の悪さも原因のひとつだそうです。背筋をピーンと伸ばして座るようにしてみましょう。慣れるまでは、つらいかもしれませんね。しかし、ほんの少しの心がけで、身につけることができます。そして、椅子の背もたれに寄りかからないで、握りこぶしがひとつ入るくらいの位置に座ります。腹筋に力をいれ、胸を張り、肩の力を抜きます。この座り方、長時間座っても疲れないんです。椅子の座り方ひとつで、相手に与える印象は大きく違いますから、素敵な座り方をしてみませんか。自分のためにも。